暗号資産の移転にかかる「通知義務」(トラベルルール)を犯収法・FATF 勧告16 の観点から整理し、事業者が実装すべき情報共有・記録保存・受取先スクリーニングの実務をまとめます。
最終更新: 2026年7月
トラベルルールとは、FATF(金融活動作業部会)勧告16「電信送金」に由来する国際基準で、暗号資産サービス提供者(VASP)が送金を行う際に、送付人・受取人の情報を受取側 VASP へ共有することを求めるものです。日本では、2022年に改正された犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)で暗号資産交換業者等に「通知義務」が課され、2023年6月1日から本格施行されました。加えて、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)の自主規制規則が具体的な運用(対象通貨・メッセージング規格・段階適用)を補完しています。
通知義務は、暗号資産交換業者が顧客の依頼を受けて他の交換業者(国内外の VASP)へ暗号資産を移転する場合に生じます。共有が求められる情報は、送付人・受取人の識別情報が中心です。
※ 具体的な対象通貨・閾値・適用開始時期は JVCEA 自主規制規則と金融庁ガイダンスにより随時更新されます。実装前に必ず最新の一次情報を確認してください。
取引所が管理しない自己ホストウォレット(アンホステッド/セルフカストディ・ウォレット)宛の送金では、相手側に情報を受け取る VASP が存在しないため、通知義務の履行方法が問題になります。実務上は、送付元 VASP が受取先が自己ホストウォレットか他 VASP のホステッドウォレットかを判別し、自己ホストウォレット宛の場合は自社内で送付人・受取人情報を記録・保存する対応が中心となります。ChainAnalyzer は受取先アドレスがマーケットに知られた VASP・ミキサー・詐欺クラスターに属するかをオンチェーン・グラフとレジストリで判定し、アンホステッド判別とリスク評価の材料を提供します。
トラベルルールは各国・地域で施行時期や運用が異なり、送金先の国がまだ完全に対応していない「サンライズ問題」が生じます。海外 VASP との相互運用では、相手側がトラベルルール・プロトコル(メッセージング規格)に対応しているか、対応していない場合にどのようにリスクを低減するかの手順を整備する必要があります。ChainAnalyzer は情報共有そのものを代替するものではありませんが、相手先アドレスの帰属推定・制裁照合により、非対応 VASP・高リスク先への送金判断を補強します。
ChainAnalyzer はトラベルルール・プロトコル(Sumsub / Notabene / TRP 等)そのものではなく、その前段・後段で必要になるオンチェーン・リスク評価を担います。
実質的に同じ基準を指します。FATF 勧告16 が国際基準であり、日本ではそれを国内法化した改正犯収法の「通知義務」として実装されています。運用の細目は JVCEA 自主規制規則が補完します。
FATF 勧告16 は 1,000 USD/EUR 相当を国際的な基準としていますが、日本での具体的な金額基準・少額送金の扱いは JVCEA 自主規制規則および金融庁ガイダンスに従います。基準は改定され得るため、実装時に必ず最新の一次情報を確認してください。
受取側に情報を受け取る VASP が存在しないため、送付元事業者が送付人・受取人情報を自社で記録・保存する対応が中心になります。ChainAnalyzer は受取先が自己ホストウォレットか他 VASP かの帰属推定と、そのアドレスのリスク評価を支援します。
いいえ。VASP 間の情報共有そのものは Sumsub / Notabene / TRP 等のトラベルルール・プロトコルが担います。ChainAnalyzer はその前段の受取先スクリーニング・閾値検知・帰属推定・記録保存を担う補完ツールです。
本ページは一般的な情報提供を目的とした教育的解説であり、法的助言ではありません。トラベルルール・犯収法の対象範囲・閾値・運用は改定され得ます。実際の対応にあたっては、金融庁・JVCEA 等の一次情報および所轄の弁護士にご確認ください。
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