ブロックチェーンAMLツール比較2026

国内の暗号資産・電子決済手段等取扱業者・利用事業者のための、主要AMLプラットフォーム比較。対応チェーン・価格・日本規制対応・ユースケース別に整理します。

最終更新: 2026年4月

なぜ今AMLツールの選定が必要か

2023年の資金決済法改正で電子決済手段(ステーブルコイン)が規制対象となり、2024年6月の改正犯収法施行でVASP間送金のトラベルルール対応が義務化されました。さらに2025年8月にはJPYCが国内初の円建てステーブルコインとして稼働開始し、暗号資産交換業者だけでなく、JPYCを活用するB2B送金事業者・EC・クリエイター経済プロダクト側にもAML責務が生じています。金融庁がFATF第四次対日相互審査を踏まえて監督を強化する流れの中で、事業規模・ユースケース・予算に応じたAMLツール選定が経営課題になってきました。

比較の6つの軸

対応チェーン

Bitcoin・Ethereum・Polygon・Avalanche・Solana・Tron・Near等、自社ユースケースに必要なチェーンが網羅されているか

価格帯

無料 / 月額数千円 / 月額数十万円 / 年数百万〜数千万円 の4段階で大別できる

提供形態

Web SaaS / REST API / MCP / オンプレ / ハイブリッド

日本規制対応

FISC準拠・日本語UI・国内ホスティング・金融庁対応・日本警察との連携実績

ユースケース適合

取引所 / 発行体 / 利用事業者 / EC / 調査機関 / 個人 のうち、どこに最適化されているか

監査証跡の品質

PDFレポート・改竄不能ログ・JSON-LD出力・規制当局向けエクスポート

大手グローバルAMLプラットフォーム

世界中の金融機関・大手交換業者で採用されている、業界デファクト層のツールです。機能・データ量で圧倒的ですが、価格帯も高く、日本規制文脈への特化は限定的です。

製品価格対応チェーン日本対応得意ユースケース強み弱み
Chainalysis
KYT / Reactor / Hexagate
年数百万〜数千万円30+English first, 日本語サポートあり大手交換業者・金融機関・法執行業界デファクト、アドレスラベリング数億件、規制当局連携高額、日本ユースケース最適化は限定的
Elliptic
Lens / Investigator / Navigator
年数百万〜数千万円30+日本語UI、2025年にJPYC発行体と提携ステーブルコイン発行体・国際金融機関JPYC発行体採用、地域カバレッジ、英文レポート品質価格、中堅〜中小向けパッケージは限定
TRM Labs
TRM Forensics / Tactical
年数百万〜数千万円30+英語中心法執行機関・政府系・大手金融機関捜査向け機能、クラスタリング精度、政府連携商業利用は制限、日本語対応弱い
Crystal Blockchain
Crystal Analytics / Expert
年数百万円〜20+英語中心欧州金融機関・交換業者EU規制対応、視覚的分析UI日本市場浸透は限定的

中堅 / 軽量ツール

予算規模・ユースケースに応じて、大手ツール単体ではなく軽量ツールを組み合わせる運用も現実的です。無料〜月額数万円レンジで、特定の検知や用途に特化したサービスが中心です。

製品価格対応チェーン日本対応得意ユースケース強み弱み
GoPlus Security
Address Security API / Token Security API
無料〜従量課金20+多言語対応、日本語レスポンス軽量スクリーニング・ウォレット統合世界最大規模のhoneypot / rug DB、無料で始められるコンプラ証跡保全やカスタムルールは非対応
Merkle Science
Compass / Tracker
年数十万〜数百万円25+アジア向け対応あり東南アジアの交換業者・コンプラ予測的AI分析、価格帯が大手より現実的日本規制文脈は限定
Coinfirm
AMLT / Oracle
年数十万〜数百万円15+英語中心欧州中心の交換業者・発行体AMLTトークンによるエコシステム、欧州ネットワーク日本市場浸透は限定的
Arkham Intelligence
Arkham Platform / Intel Exchange
無料〜月額有料10+英語中心調査者・アナリスト無料プラン、豪華UI、コミュニティ主導のラベリングプライバシー懸念の指摘あり、規制当局向け証跡は弱い
Breadcrumbs
Breadcrumbs Investigator
月額有料EVM中心英語中心個人・中小調査者ビジュアル分析重視、手軽エンタープライズ機能は限定

国産・日本語ネイティブ

国内の法規制文脈を前提に設計され、日本語で運用できるAMLプラットフォームです。ChainAnalyzerはこのカテゴリに属します。

製品価格対応チェーン日本対応得意ユースケース強み弱み
ChainAnalyzer
Scan / Watchlist / Contract Monitor / Case Management / REST API
無料 〜$19.99/月 + Enterprise個別見積Bitcoin・Ethereum・Polygon・BNB Smart Chain・Base・Arbitrum・Optimism・Avalanche・Solana・Kaia・TRON・XRPの全プラン対応12チェーン日本語ネイティブUI、FISC準拠、Azure Japan East中堅 暗号資産 交換業者・JPYC利用B2B送金・EC・クリエイター経済低コスト、日本語、ステーブルコイン特化、FATFトラベルルール・JPYC全チェーン対応、Case Management、ML 3モデル アンサンブル、ScamDB独自OSINT、8億円規模の犯罪ネットワーク検出実績グローバル取引所向けではなく、法執行機関向けは限定

選定フローチャート

予算・ユースケース・日本規制対応の3軸で、最初の候補を絞るフロー:

AMLツール選定フローチャート — 予算・ユースケース・規制要件に基づきChainalysis・Elliptic・ChainAnalyzer・GoPlus・Merkle Scienceを振り分ける意思決定ツリー

ユースケース別 推奨

ユースケース推奨理由
国内 大手 暗号資産交換業者Chainalysis or Ellipticをメインに + ChainAnalyzerで補完業界デファクトの証跡 + 日本語オペレーション
中堅 暗号資産 交換業者ChainAnalyzer + GoPlus併用コスト効率、日本規制対応、無料API活用
JPYC利用B2B送金サービスChainAnalyzerステーブルコインAML特化、トラベルルール実装、FISC準拠
ECでJPYC / USDT受取ChainAnalyzer Starterプラン($4.99/月)受取先スクリーニング・アラート・コンプラ証跡
ステーブルコイン発行体Elliptic or Chainalysis発行・償還時の高精度スクリーニング、規制当局対応
法執行機関・調査機関Chainalysis Reactor or TRM Labs政府連携、捜査機能、クラスタリング精度
個人投資家のリスクチェックGoPlus無料API or ChainAnalyzer Free無料、日本語UI
クリプトウォレット提供者GoPlus + 自作 / ArkhamUXへの組み込み、コスト

選定プロセスの5ステップ

  1. ユースケース・予算・対応チェーン・リアルタイム要件を固める
  2. 2〜3社の無料トライアル / Starterプランを同時進行で契約
  3. 同一テストケース(既知制裁・偽JPYC・Peel Chain等)で検出率を比較
  4. 日本語サポート・時差・セキュリティ監査の有無を確認
  5. 契約前にデータ国外移転の有無・7年保存要件・削除プロセスを確認

ChainAnalyzerの詳細

ここまで読んで「国産で日本語ネイティブ、中堅規模で現実的な価格」という要件に合うなら、ChainAnalyzerが候補になります。特徴:

  • 全プラン対応の12チェーン(Bitcoin・Ethereum・Polygon・BNB Smart Chain・Base・Arbitrum・Optimism・Avalanche・Solana・Kaia・TRON・XRP)
  • ステーブルコインAML特化(JPYC・USDT・USDC・PYUSD・FDUSD)
  • FATFトラベルルール しきい値検知とメタデータ生成
  • Token Contract Monitor(P1-P5の不正パターン自動検知)
  • Case Management(複数アドレス調査ケース + 統合PDF)
  • ScamDB(独自OSINT、公開API無料)
  • Neo4jグラフ分析 + ML 3モデル アンサンブル(IF + AE + GraphSAGE)
  • AIコンプライアンス レポート(Azure OpenAI、日本語ネイティブ)
  • FISC準拠、Azure Japan Eastホスティング
  • 無料プラン〜$19.99/月〜Enterpriseまで
無料プランで試す →

よくある質問

ChainalysisやEllipticと併用できますか?

はい。多くのエンタープライズ顧客は大手ツールをメインに使い、日本語の証跡保全や日常運用はChainAnalyzerで補完する構成を採用しています。REST API / Webhookで相互連携可能です。

データは日本国内に保管されますか?

ChainAnalyzerはAzure Japan Eastリージョンで運用しており、Supabase PostgreSQL・Neo4j・S3相当ストレージ すべてを国内に配置しています。FISC安全対策基準に沿ったデータレジデンシー要件を満たします。

JPYC以外のステーブルコインは?

USDT・USDC・PYUSD・FDUSD・DAI・TUSD・BUSD・FRAX・USDP等、主要ステーブルコインをEVM / Solanaで横断分析可能です。将来発行される銀行系SCにも即時対応できる設計です。

OFAC以外の制裁リストは?

OFAC SDNに加え、英国制裁リスト(FCDO)、EU統合金融制裁リスト、国連安保理 統合リスト、財務省 資産凍結等対象者一覧、カナダ 制裁統合リスト(SEMA)、スイスSECO制裁リストの計7リストを定期取得しています。暗号資産アドレスを公表しているリスト(OFAC・英国・財務省と、スイスが公表している少数)はスキャンごとにアドレス照合し、EU・国連・カナダは名称のみの公表のため取引相手やラベルの名称照合に使います。STR証跡パッケージには照合したリストと版を必ず記録します。

セキュリティ監査は?

外部脆弱性診断・ペネトレーションテストを年次で実施、ISMS(ISO/IEC 27001)フェーズ1対応中です。監査報告書はエンタープライズ契約で提供可能です。

法執行機関・規制当局への提出用レポートは出せますか?

Case Managementの統合PDFでコンプライアンス レポートを出力できます。ただしChainalysis Reactor相当の捜査機関向けハイエンド機能には特化していません。

関連ガイド

本ページについて

本ページはChainAnalyzerが公開するドキュメントであり、運営者として自社製品の優位性に触れています。一方、他社製品の記述は公開情報に基づき公平を期しています。最新・正確な機能と価格は各社公式サイトでご確認ください。本ページの情報は2026年4月時点のものです。

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