AMLオフィサー実務 FAQ

暗号資産・ステーブルコイン事業のAMLオフィサー(AML担当者)が実務で迷いやすい論点を、犯収法・金融庁ガイドラインに沿った一般的な考え方として整理します。

最終更新: 2026年7月

このページについて

本 FAQ は、暗号資産交換業者・電子決済手段等取扱業者の AML オフィサーが日常業務で直面する具体的な質問に、犯収法および金融庁のマネロン・ガイドラインの一般的な考え方に基づいて回答するものです。個別事案の判断は事業スキーム・顧客属性により異なるため、最終的には自社の規程と所轄の弁護士の助言に従ってください。

実務 Q&A

海外の法人企業からの送金を受け取る際、その法人の代表取締役もAMLチェック(本人確認・スクリーニング)が必要ですか?

一般に、法人顧客の取引時確認では「取引を実際に担当する自然人(取引担当者)」の確認と、「実質的支配者(ベネフィシャル・オーナー)」の確認の両方が求められます。海外法人の場合、まず議決権の25%超を保有する自然人等を実質的支配者として特定し、該当者がいなければ事業経営を実質的に支配する自然人、それも特定できなければ最終的に代表者(代表取締役等)を実質的支配者とみなして確認します。したがって、代表取締役は「取引担当者」または「実質的支配者のフォールバック」として確認・制裁照合の対象になり得ます。加えて、法人自体とその実質的支配者を OFAC SDN 等の制裁リストに照合し、オンチェーンでは受取アドレス(送金元)のリスク評価を行うのが実務です。

実質的支配者はどこまで遡って確認すればよいですか?

犯収法上は、議決権25%超を保有する自然人を基準に特定します。株主が法人である場合は、その法人を通じて最終的に支配する自然人まで遡って確認するのが原則です。高リスク先(ハイリスク国所在・複雑な資本構成等)では、より厳格な顧客管理(EDD)として追加資料の徴求や継続監視を行います。判断が難しいストラクチャーは弁護士に相談してください。

受取アドレスが取引所・ミキサー・詐欺クラスターのいずれに属するかは、どう判別すればよいですか?

オンチェーンのアドレス帰属推定とレジストリ照合で判別します。ChainAnalyzer は、受取/送金アドレスを既知エンティティレジストリ・ScamDB・OFAC SDN と照合し、さらに Neo4j グラフでミキサー・ブリッジ・詐欺クラスターへの近接度(何ホップで到達するか)を評価して、帰属とリスクを提示します。

疑わしい取引の届出(STR)は、AMLオフィサーが単独で判断してよいですか?

検知・一次判断はAMLオフィサーが行いますが、届出の要否は社内規程に基づく組織的判断とし、記録を残すのが一般的です。ChainAnalyzer は検知シグナル・証跡(証拠トランザクション・スコア根拠)を提示して判断材料を整理しますが、最終的な届出判断と当局への提出は事業者の責任です。

少額でも短時間に多数のアドレスへ分散送金されている場合、モニタリング上どう扱うべきですか?

少額分散(ストラクチャリング/スマーフィング)は、閾値回避を狙う典型的な疑わしいパターンです。単発の金額ではなく、一定期間の集約・分散のグラフ構造で評価するのが有効です。ChainAnalyzer は資金フローのグラフ展開(Follow Mode)で分散先を芋づる式に可視化し、パターンの検知を支援します。

制裁対象者リストはどれを、どの頻度で照合すればよいですか?

一般に OFAC SDN、国連、EU、および国内の関連リストを照合対象とし、リスト更新のたびに再スクリーニングするのが望ましいとされます。ChainAnalyzer は取引フィルタリングとしてこれらの制裁/リスクリスト照合を提供し、継続監視(Watchlist)で既存顧客の再照合も自動化します。

確認記録・取引記録はどのくらい保存する必要がありますか?

犯収法上、確認記録・取引記録は取引終了等から7年間の保存が求められます。ChainAnalyzer の Case Management・PDFレポート・監査ログ(Activity Log)は、検知証跡を改ざん耐性のある形で保全し、記録保存義務と監査対応を補助します。

個人の自己ホストウォレット宛にステーブルコインを送る顧客がいます。追加の確認は必要ですか?

自己ホスト(アンホステッド)ウォレット宛の移転では、受取側に情報を受け取るVASPが存在しないため、リスクに応じて送付人・受取人情報の記録や追加確認を行うのが実務です。まず受取先が自己ホストウォレットか他VASPかを帰属推定で判別し、そのアドレスのリスク評価に基づいて対応の要否を判断します。

ML(機械学習)のリスクスコアだけで取引を止めて(またはSTRを出して)よいですか?

スコアはあくまで判断の材料であり、単独で自動的に取引停止やSTRの根拠とするのは推奨されません。ChainAnalyzer はスコアの根拠(発火した検知ルール・証拠トランザクション)を併せて提示するため、AMLオフィサーが説明可能な形でレビューし、社内規程に沿って判断することが重要です。

小規模事業者ですが、ツール導入だけでガイドライン対応は足りますか?

いいえ。ツールはリスク低減措置(取引モニタリング・フィルタリング等)を支えますが、リスク評価書の作成、方針・手続の整備、3つの防衛線(現業・管理・内部監査)の態勢は事業者側の責任です。ChainAnalyzer は低減措置のオンチェーン部分を効率化し、態勢整備を補完する位置づけです。

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免責事項

本 FAQ は一般的な情報提供を目的とした教育的解説であり、個別の法的助言ではありません。犯収法・ガイドラインの解釈は事案により異なり、内容は改定され得ます。実際の対応にあたっては、金融庁・JVCEA の一次情報および所轄の弁護士にご確認ください。

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